スクリーンリーダーは PDF を見た目ではなく構造で読みます。ファイルに構造がなければ、目の見えない人にはページがごちゃまぜに聞こえたり、何も聞こえなかったり、全ページのヘッダーとフッターを毎回聞かされたりします。アクセシビリティは限られた人の話ではありません。EU では 2025 年 6 月から欧州アクセシビリティ法が多くの製品やサービスに適用され、日本でも障害者差別解消法の改正で 2024 年 4 月から事業者の合理的配慮が義務化されるなど、公開する文書へのルールは広がっています。
チェックリスト
- 文字の画像ではなく、本物のテキスト。スキャンしたページは画像です。OCR がなければ、スクリーンリーダーには読むものがありません。単語を選択できるか試してみて、できなければ OCR PDF にかけてください。
- タグ。タグ付き PDF には、「これは見出し、これは段落、これはリスト」と伝える見えない構造ツリーがあります。Word、Google ドキュメント、InDesign から書き出すときは「タグ付き PDF」や「アクセシビリティ」の設定をオンに。「PDF として印刷」では、たいていタグが失われます。
- 本物の見出し。大きな太字ではなく、エディターの見出しスタイル(見出し 1、見出し 2)を使いましょう。見出しは移動の目印になります。
- 読む順番。段組み、囲み記事、テキストボックスが、筋の通った順で読まれるようにします。アクセシビリティチェッカーで確認しましょう。
- 画像の代替テキスト。意味のある画像には短い説明を。飾りの画像は飛ばされるよう、装飾として設定します。
- 文書のタイトル。ファイルのプロパティでタイトルを設定し、ビューアがファイル名ではなくタイトルを表示するようにします。メタデータ編集 で確認・設定できます。
- 文書の言語。スクリーンリーダーが正しい読み方をするために必要です。
- 見出し行のある表。見出し行をそれとして設定し、結合セルはできるだけ避け、レイアウトのために表を使わないこと。
- 意味のわかるリンク。「こちらをクリック」ではなく「2026 年版価格表をダウンロード」。
- コントラストと色。文字は背景からはっきり見え、グラフの赤と緑のように、情報を色だけに頼らないこと。
アクセシビリティを損なうツール
白黒への変換やフラット化など、私たちのツールを含む多くの PDF 操作は、タグが失われる形で内容を描き直します。アクセシビリティは最後の書き出しの一部として扱いましょう。先に結合、並べ替え、注釈を済ませ、アクセシブルな版は元のファイルから作ります。
確認
よく使われるのは、Adobe Acrobat のアクセシビリティチェックと、PDF/UA のコミュニティによる無料の PAC チェッカーです。そして何より、実際に試してみること。パソコンやスマホに内蔵のスクリーンリーダーをオンにして、1 ページ目を聞いてみてください。